2021年4月からの「新教科書」は今までの教科書とは“全く”異なります。小学時の英語の学力が“肝”
<変化のポイント>
①新学習指導要領を踏まえ、大学受験時と同じ学力の三要素「知識・技能」の定着と「思考力・判断力・表現力」の育成 をより重点化したつくりに変化。
②日常生活との関連、対話文を取り入れたコミュニケーション、様々な情報(統計・資料・図版・写真など)、読解量の増加など、最新 公立高校入試同様、 認知的負荷の高い教科書 へ変化。原則、英語を除く4教科 は、現行版の バージョンアップ アップ版。
③圧倒的に激変するのが英語
英語は“ヤバイ”くらいに激変!英語教育改革の達成目標通りに、中学の教科書は、質的・量的ともに大幅アップ。 想定を超えた難化 のため、しばらくは教科書指導において混乱が生じる可能性 も 。
新教科書は・・・例えば東京書籍のNEW HORIZONは、
頁数・判型の比較
●旧版教科書
判型AB版 頁数 各学年152P
●新版教科書
判型A4
頁数 中1:168P 中2:160P 中3:156P
増加率 中1:111% 中2:105% 中3:103%
取扱単語数の比較(小学時の単語は含まず)
●旧版教科書
総語数 1373語 中1:580 中2:445 中3:348
●新版教科書
総語数 1671語(増加率122%) 中1:781 中2:474 中3:416
増加率 中1:135% 中2:107% 中3:120%
この数字から分かる通りページ数も語彙数も大幅アップになります。
それに加え、グラマーが体系的でもなく順に出てくるわけでもなく、よく使う順で現れます。そして単独でその文法だけを扱うため他のグラマーと関連付ける意識が育つのは厳しいと言えます。
英語嫌い、英語が分からなくなる前に、速い時期から英語を体系的に学ぶことをお薦めします。特に小学生の英語は、それが身についているのが前提で中学の英語の教科書が作られています。新中学教科書はユニット1から「be動詞・一般動詞・助動詞」の並びの文法です。
いかに小学英語が重要なのかが分かる作りの新中学教科書です。
●小学校で学習した語( 600 700 語)に 1600 1800 語程度の新出語を
学習。
●高校内容の一部が中学内容に組み込まれる。
(感嘆文、原型不定詞、現在完了進行形、仮定法など)
●英語4技能を重視。授業を原則英語で行う。
●実際のコミュニケーションで活用できる文法・語法を重点化する。
小学英語の影響力の大きさ!
中1の教科書は従来とは全く異なり、 be 動詞・一般動詞から一気に入ります。小学校で習った単語と新出単語の運用練習がメイン。
スタート時に小学校での習熟度が大きく影響します。
中1で不定詞の名詞的用法?
東書の中1では、動名詞や不定詞の名詞的用法を学習。各不定詞の用法、受動態、現在完了、間接疑問文など、重要文法事項の履修時期が教科書によってマチマチになるので注意が必要です。
単語力アップのための戦略?
新教科書では、倍増した単語を習得させるためのコーナーが充実しています。巻末に、カテゴリー別に単語をまとめた図表などを付加した教科書も多く、単語の習得が、大きな目標の一つであることが
わかります。
英語でプレゼンテーション?
4技能のうちスピーキングは「やりとり」と「発表」に分かれ、学習指導要領では「4技能5領域」と呼ばれます。この「発表」についての内容が登場したことも大きな変化と言えるでしょう。
本格導入されたCLIL
CLIL Content and Language Integrated Learning: 内容言語統合型学習)が採用されたのも大きな特徴。環境、気候変動、人口、教育、食料、水などSDGsに直結しています。
理系的テーマの素材文がスゴイ!
例えば東書の中3では「食物連鎖」を取り上げ、鹿の生息数と鹿が引き起こす問題という、高度な内容にまで踏み込んでいます。扱われる単語は高度ですが、文章読解に不可欠な重要単語が目立ちます。
現在完了進行形ってどう使うの?
カタチが複雑になる現在完了進行形。「ある動作や行為が過去から現在まで続いている」との理解だけでは使える英語になりません。 『 私の「〇〇歴」 』 として運用練習を行う東書(ニューホライズン)は極めて画期的です。他に仮定法なども取り上げられています。
入試に直結する「表現の型」!
近年の高校入試問題では、とりわけ英作文において、ある課題に対して自分の意見を発信する問題が増加しています。この流れが新教科書では鮮明に打ち出されています。
ターゲットセンテンスの運用練習が少ない!
内容重視(SDGs系テーマ)に 加え 、 基本文法の習得よりも活用(発表やディベートなどのアクティビティ)に重点が置かれすぎ。
中3リーディングは確実に高校レベルへ変化!
リーディングのテーマはSDGs を意識したもの が多い。抽象度が高く、ほぼ高1レベル。英語力以前の学力や常識が問われる。